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CTOのブログ (15)  えっ! カビが生えた? いえ、肥料の結晶です

こんにちは。ラテラCTOの荒磯恒久です。クリスタルグレインを使っている方から「白いカビが生えた」というお問い合わせをしばしばいただきます。無菌人工土壌でカビが生えるはずはないのに・・・。私の栽培でも白いカビのようなものが出たことがあります。早速調べてました。正体は結晶化した肥料でした。

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無菌人工土壌「クリスタルグレイン」で植物を栽培するときは底穴のない鉢を使う。無菌なので水が腐ることはないからだ。底穴がないと肥料が流れ出すこともないので最初の肥料を使い切ることができる。観葉植物のアスパラをかわいいバケツ型の鉢で育てていたとき、下の写真のように土の表面に白いカビのようなものが出てきた。「カビ? まさか?」と思ってまずはじっくり観察。

そういえば、水をやりすぎて表面に水が浮いたことがあったっけ。その後、水の蒸発が早ければ肥料は水に溶ける限界を超えて結晶になる。結晶なら水に入れると溶けて見えなくなるだろう。水に溶けたのであればイオンになるから溶液の電気伝導率が上がる。カビならばきっと水に浮く。水に浮いたらすくって顕微鏡で見てやろう。

早速実行。白いものは水に溶けて、浮かんでくるものは何もない。電気伝導率を測ると、予想通り高い値を示した。念のため白いものを直接顕微鏡で見たが、カビは見あたらない。白いものは肥料の結晶に違いない。

底穴なしの鉢で、水を入れ過ぎたときはペーパータオルで軽く吸い取るのが良い。

 

もう一つ、奇妙な現象に出会ったことがある。

プランターにはいろいろな機能を持つものがある。その一つに鉢の下に「受け皿」のようなものが付いていて鉢との間を不織布でつなぐものがある。下の「受け皿」に水を入れておくと水は毛管現象で上の土に吸い込まれ、水やりの手間が省けるという優れものだ。しかし、喜んで使っていると下の写真のように、鉢の壁に1~2cmの高さで白いものが付いてくる。

土の表面にも白いものが見える。やはり肥料の結晶だろう。水に溶かして電気伝導率を調べるとやはり高い。顕微鏡で見てもカビはない。

しかし、土の表面から1~2cmも上まで水をやり過ぎたことはない。結晶が鉢の壁をのぼったのか???

その通り! 結晶が壁をのぼったのである。

兵庫教育大学の教育実践学論集に「『結晶の壁のぼり』の現象をエネルギー的視点からとらえさせる高校生のための教材の開発」という論文があった。那須悦代、喜多雅一両氏が2015年3月発行の論集第15号 (213-217ページ)に発表されていた。

http://repository.hyogo-u.ac.jp/dspace/bitstream/10132/15356/1/AA114330270150019.pdf

大変興味深い論文で、その最初の図に結晶の壁のぼりの写真があった。筆頭著者の那須様から、その写真の使用を許可していただいたので次の図に再掲載する。

 

はじめの溶液の高さが0で示されている。硝酸カリウムの飽和溶液を25ml入れたときの高さだ。その後数日間、静かに放置する。溶液の水は蒸発し液面は下がる。そして結晶が壁をのぼり始めるのだ。この間、実験を行った高校生は一定時間ごとに液面の高さとのぼった結晶の高さを記録して、素晴らしいデータを原論文に提供している。

結晶ができるのは水が減少して溶け切らなくなったからだ。では、なぜ結晶が壁のぼりをするのか。これは既に析出した結晶の隙間を毛管現象(表面張力)で溶液が上がって行き、水の蒸発によって結晶化が起きるという過程が繰り返されたことによる。容器の材質や壁面と水面との角度などに依存することにもなろう。

受け皿から水が毛管現象で鉢の土を潤す形の栽培器では、水は常に下から上に移動する。その結果、上から潅水する通常の方法より、土表面近くの溶液では肥料濃度が高くなっている可能性がある。結晶の壁のぼりが起こりやすい状況が作られるのだ。

 

植物栽培を楽しもうと思っていたら、物理化学の勉強をさせられてしまった。人生、何が起こるかわからない。しかし結晶が壁をのぼる世の中なのだから無理もないか。

 

 

 

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